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"共に食べる"ことで育む関係

 世界125カ国、国内では約30カ所に拠点があるYMCA。地域に根ざし、ニーズに即した英語・野外・健康教育などのプログラムを提供している。
 同所の活動の中で"食べる"ということが最も切実に感じられるのは、この5月に始まったばかりの「ファミリーホーム」。小規模な児童養護施設にあたるここでは、昨日まで家族ではなかった子どもたちと里親が、今日も、その次の日もごはんを共に食べることで、少しずつ家族になってゆくのだ。
 スタッフと幼児教室の子どもたちが、一緒にお弁当を食べるのも日常のこと。組織としてひとつの大きな食卓を作りつつ、各家の小さな食卓・お手製弁当も持ち寄られる。ありふれているが、かけがえのない"共に食べる"という行為は、同所の活動を陰で支えている。

所在地/岡山市北区中山下1-5-25
TEL.086-223-1509 
http://ymca-okayama.org



  健康教育部門 講師 絹田 倫子 さん

・お仕事の内容は?

幼児教室の3歳児のクラスを担当しています。
週最大4日で来ている子どもたち、週3日とか週4日とか
選んでもらって来てもらっているクラスの3歳児の担当です。

・先生ですか?

いえ、YMCAでは先生ではなくてリーダーと呼ばれているので、
子どもたちからは"きんちゃんリーダー"と呼ばれています(笑)。

・きんちゃんリーダー? 何でなんですか?

はい。絹田なので、きんちゃん。小学校からのあだ名をそのまま、
大学の時からずっとここに関わっているので、そのままずっと言われ続けています(笑)。

・新しく入ってくるお子さんがいたらその子どもたちも、その呼び名で?

開講式の時にここは先生ではないのでと。みんなリーダー名が付いているので、
それで呼んでくださいと。お母さんたちからも"きんちゃんリーダー"って(笑)。
最初は言いにくそうなので、リーダー、リーダーからだけど、
段々上も付けてくださるようになり、面白いと思いますね。そう言うところは。

・何名ぐらいを見てるいるのですか?

いま10名です。

・1人で10人を見ているのですか?

2人で担当をしています。

・1日中?

朝9時半から12時半まで、お弁当を食べて帰るという流れです。

・じゃあお弁当は子どもたちと一緒に食べる?

はい。いつも子どもたちと食べています。

・子どももお母さんの手づくりのお弁当を?

はい。お母さんの手づくりのお弁当を必ず。

・子どものお弁当も美味しそうですか?

美味しそうですね、色んな。最初は好きなものを中心に入れてもらっているんですけど、
段々食べにくい野菜を入れてくださったりとか、お母さんの方も工夫してくれているので、
嫌いなものもちょっと食べるようになったり、というのもあります。

・毎日子どもたちに目配りして?

子どもたちからアピールがあるので(笑)。ピーマン嫌いだけど食べるとか。
そう言えば今まで入ってなかったのが、入っていたりすると
お母さん入れてくれてるねぇって話したりで、お弁当食べながら喋り続けているので、皆大変です。

・楽しいですね?

楽しいですよ。その相手をしながら食べているので忙しいです、お昼は(笑)。

・子どもたちも絹田さんが作ったお弁当を見る?

見ます。必ずお互いに見合って、中身を確認して…。

・中身を確認するの?

中身を確認しますね(笑)。下手したらフタを開けてくれるような子もいるので、
中に何々が入っているのが一緒だねっていう話をしています。

・替えっこしたりもします?

替えっこはなしで。自分のお弁当は自分で(笑)。自分のお箸で突くので。
時々果物とか取りそうになる子もいるので、やめてねって(笑)。
1人にあげちゃうと、みんなにあげないといけなくなるので(笑)。

・お弁当を作った人は?

中身を作ったのは母で、詰めるのは私です(照笑)。

・分業制ですか?

はい。ずっと分業制です(笑)。

・ずっと?

えっと…高校生か大学生のころから詰められる量が違ってきたんだと思うんですよ。
自分が食べる量と、ごはんの量とかおかずの量とかが、何か納得いかなくって、
じゃあ自分でしなさいって、全部揃えてあって、このおかずって詰めるのが私です(笑)。

・それは朝詰める?

朝詰めます。朝起きたら用意されているので(笑)。

・晩ごはんの残りとか?

基本的には朝作ってます。煮物だったら前の日から炊いて
味をしませるのですけど、基本的には朝全てです。

・お母さんが朝起きて作られるんですね。

はい。申し訳ない(笑)。

・ランチを一緒にするのは?

子どもたちです。常に。

・ランチの時間は?

11時40分位から12時15分位まで。子どもによって差があるので、私たちは速いです。
速く食べ切って…子どもと一緒に食べるんですけど、一番最初の子が食べ終えるまでに
基本食べ切るようになるべくしたいなあと…だからすごい速いと思います。

・じゃあ、食べるのが遅い子は待ってあげて?

そう。側で食べさせて、全部食べさせる。残さないで欲しいなあと。
残す時には、せめて口だけちょっと付ける。
嫌いなものが残るので、ちょっと付けて家に帰ったらごめんねって、
お母さん残してごめんねって言うようには伝えています。
ただ残して帰るんじゃなくて、作ってくれたお母さんに
ごめんねの気持ちも持ってもらいたくて、それは伝えてますね。

・それを子どもが実践している?

はい。お迎えに来た時に、もうごめんなさいって言ってるから(笑)。
そこじゃなくていいんだけどって(笑)。

・好きなおかずは?

卵焼きと鮭が好きです。だいたいよく入っていますね。

・苦手なおかずは?

入れないので…(笑)。

・自分で詰めるから入れないんですね。

そう(笑)。苦手なおかずはない。作ってない。作らない(笑)。
私が嫌いだろうと思うものは、お弁当のおかずには出てこないので(笑)。

・嫌いなおかずも?

あまり好きじゃないのは、なすびとかかな。これは出てこない(笑)。

・お弁当を持ってくる理由は?

仕事の…子どもたちにもお弁当を持って来てって言ってるので、私たちもお弁当。
うちは基本的に作ってくれる人がいるので、ほぼお弁当を持っていく形ですね。

・買ってくるお弁当も?

子どもたちはいませんけど、スタッフの方では
男の子のスタッフだったりすると、お弁当を買ったりはあります。

・ご自身は?

ないです。ないです。うちにはシェフがいるので(笑)。
素晴らしいシェフがいるので(笑)。まずいる限りは絶対大丈夫です(笑)。

・詰めるのは手馴れてだいぶ速くなってきたのでは?

はい。速いと思います(笑)。我ながらいい具合に(笑)。
年々手際はいいと…パパパっと詰めたら、すぐ朝ごはんを食べれるくらいに。

・彩りも考えながら?

一応考えてるつもりで入れてます。

・今日のお弁当のおかずの名称は?

い豆ごはん

卵焼き

スナックえんどう
はんぺんの煮物
鶏肉のバジル風味
ブロッコリー
イチゴ

・ご自宅で出来たものとかあります?

今回はないけど、夏はプチトマトなんかは
うちの庭で出来たものも入ります。ちょっとだけの庭で作っているので。

・お弁当にまつわる思い出は?

基本的にお弁当がいる時は、常にちゃんと母が作ってくれているので。
もうそれは遠足だとか、運動会だとかも、本当に完璧じゃないけど常に作ってくれているので、
当たり前にお弁当は母が(笑)。高校位からお弁当を持って行くけど、
いまだお弁当なので、絶え間なくお弁当は持って行ってるので、
生活の中のお昼ご飯はお弁当っていうイメージがあります。
平日はお弁当を食べるというイメージでありますね。

・毎日嬉しいですか?

嬉しいですね。美味しいですしね。完璧なるシェフなので(笑)。

・と言うことは失敗はない?

ないですね。そんなに。失敗というか時々、
夏だったら水ようかんとか母が作ってると、ちょっとお弁当に入れてみようかなと。

・手づくりの水ようかん?

はい。手づくりの水ようかん。よくお弁当買うと、ちょと甘いものが
付いてきたりするのがいいなっと思うので、あれば水ようかん入れたり、
栗の渋皮煮とか作ってると、おかずじゃないけどちょっと入れたりとか。
何か甘いのが最後食べたいなって、なるとそういうのを片隅に入れてたら子どもたちからは、
これ何?って聞かれて、ようかんって言いにくいから早く食べよってなる(笑)。

・リクエストして作ってもらう?

いえ。もうなんとなく。本当に料理が好きなので、色んなものを作っていると、
あるよって聞けば入れて行こうかなってなる感じです。

・失敗とかない?

失敗って言えばバッグの中に、自分の荷物の上にお弁当を入れて行っているので、
今日は汁物だから絶対に倒さないで、と思っている時に限って倒れて、
味が全部びやーっとなっちゃったり、時々アナゴとか鰻とかで
お汁をかけ過ぎると袋から出て、そこら辺が汚れてたりという私の失敗ですね。
お弁当の失敗でなくて、中身的にはないですね。

・時々は自分でも作る?

母がいない時は、しかたがないので自分で最低限だけ作ります。

・近い形になります?

なりません(即答)。ふふふ。
なかなかいっぺんにたくさんできないところもあるから、
手作りじゃないところもありますね、自分だと。
ここは冷凍のものを入れて、あとは卵焼きとかほうれん草ゆがすとかはできるので、
そういうものを入れてですね。

・そういう時にありがたみを感じます?

時間が掛かるから普段より30分くらい早く起きて
全てやっていかないと間に合わないっていうのがあるから、
ありがたいですね、母がいるのは。

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