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最優秀賞を獲った"男の弁当"

 倉敷・矢掛・笠岡という、3つのエリアを管轄しているJA倉敷かさや。「地元の農産物をいかにPRし、販売していくか」ということに日々心を砕いているが、さまざまな取り組みを行うなかで、"究極の地産地消"とも言うべき弁当が誕生した。それがこの、ごはんの上へどーんと豪快にハンバーグがのっかった、男気あふれる弁当だ。
 作ったのは、営農部部長の山部慎一さん。ふだんの料理だけでなく加工食品などにも、どんどん地元の農産物を使って欲しいという思いから、工夫を凝らし、試作を重ねて完成したこの弁当。県などが主催する第一回「実感・実践!おかやま地産地消弁当コンクール 作って楽しい男の弁当部門」に出品した。それが本人も意図しないうちに、最優秀賞を獲得してしまったのだ。
  それもそのはず、この弁当を構成している農水産物はすべてJA倉敷かさや管内でとれたものであり、まさに地産地消を体現している。
 旬のものをを取り入れ、栄養バランスもよく、しかも美味しそうなこの弁当は、地元でとれた食材のみで作ることができるという事実を、他でもない地元に知らしめた功績は大きい。

所在地/倉敷市西阿知町1040-5
TEL.086-460-4601 
http://www.oy-ja.or.jp/~yg/




  営農部 部長  山部 慎一 さん

・お仕事の内容は?

管内で生産される農産物を販売したり、それをつくるための
肥料とか農薬、資材を販売しています。
力を入れているのは今日のお弁当のように
地元で生産される農産物をいかにPRして、販売していくかということですね。
倉敷の方でも、連島のレンコンやゴボウは知っているんですけど、
ショウガが倉敷で生産されていることは知らない人が多いですね。
倉敷の喫茶店に行ったとき、メニューの中に生姜紅茶というのがあって、
「この生姜の産地はどこでしょう」と聞いたんです。高知産でした。
そのとき、地元でできたものを知っていただきたいなと思ったのです。
それ以来、飲み屋に行くと絶対に聞くんです。このレンコンどこの?って。
そうしたらね、次から使ってくれたりね(笑)。

・普段から地道な…

そうですね。知っていただくことが、皆さんに食べていただくことだと思うし、
やっぱりみんな地元の新鮮なものを食べたいというのもあると思いますよ。
倉敷は観光客も多いじゃないですか。(よそから)来られた時に、
ここに来たらこれが食べられる、食べに行きたいと思っていただくようなもの
を作りたいですね、もっと、もっと農産物のPRをしないとだめですね。

・まだまだですか?

そうですね。まず行政のトップに知ってもらおうと思って、
昨年は組合長や生産組合の代表者が市長や町長のところに
農産物を持って行って、説明をしたんです。
ゴボウの加工品とかアスパラガスのサラダなんかを
持って行って食べてもらいました。
ハートランド倉敷のイベントでは、花嫁さんやかぐや姫が小舟に乗りますよね、
5月10日の(ごぼーの日)にゴボウを船に乗せて観光客にPRしたんですよ(笑)。
農産物を知ってもらう活動というのも重要な仕事かなと思いますね。
これ(お弁当)をつくったのもね、皆が地元の農産物に
関心をもって欲しいなというところからなんです。

・地産地消ですね?

そうですね。この地域には非常にいいものが沢山あるんですよ。
この中(お弁当)のものは地元のものばっかりで、調味料以外は地元産です。

・それはすごいですね。

そうですね。ゴボウでもサラダにしたら香りが良いし、
食物繊維が多いから健康的でしょう。
普通はゴボウを細く切るんだけど、四角に切れば歯ごたえいいしね、
噛んだ時に香りがくるんですよ。
アスパラガスもこれぐらい細いと、卵焼きに巻いて使えるでしょ、
普通だったらもっと太くてぼってりだけど、太さによって使い方いろいろですよ。

・こういうのもありなんですね。アスパラベーコンはよくあるし、地元の食材ならではという感じですね。

僕はアスパラガスをつくってますし。
作ってる人が一番おいしい食べ方を知っていますよ。

・これご自宅でつくってるんですか?

そうです。色々なものつくってますから。

・美味しいでしょうね?

そうですね。いまが一番美味しいとき。旬ですよ。

・これ(お弁当)旬の食材ですか?

ほとんど旬の食材です、レンコンがもうちょっとしたら収穫が終わります。今シーズン最後のレンコンですね。
アスパラガスは5月がピークで一番柔らかくておいしい時期なんです。
10月まで食べられます。
イチゴももうすぐ終わりですね。
安くなった時期ですからどんどん食べてほしいですよ。
ゴボウはちょうど4月中旬から収穫が始まったばかりです。

・夏くらいまでですか?

9月くらいまで楽しめます。そうそう連島では、
若い農家のグループが研究して「新旬ゴボウ」といって
1月から食べられるようになったんですよ。

・普段はお弁当を持って来られてますか?

はい。そうです。

・ご自分で作られてる?

はい、自分で。

・お昼ごはんを一緒に食べるのは?

事務所の中で(みんな)一緒に食べてます。

・お昼の時間は決まってますか?

12時から1時間です。

・好きなおかずは?

得意なのは、卵焼きです。ぼく卵焼き得意です(笑)。難しいですけどね。

・なかなかこんなにうまく巻けないですよね。

はい。卵焼きは火加減が一番。最初は妻に教えてもらって作ったんです。

・これは卵焼き器でつくられているんですか?

はい、そうです。

・卵焼きだけ?

あとはサラダかな。

・苦手なものは?

何でも食べますね。好き嫌いはないですね。

・お弁当を持って来られる理由は?

パンも好きなんですけど(笑)。
弁当を持って来ない時はパンを食べるんです。

・それはお弁当だと栄養バランスがいいだとか、経済的だとかですか?

自分の好きなものが食べられるからかな。

・この「男の弁当」を作ってみようと思ったきっかけは?

JAには女性部という組織があるんですね。女性の集まりの団体です。
女性部が色んな加工品をつくっているんです。
僕がこれをすることによって何か地元のものを使った加工品とかを
どんどん作って欲しいなという思いもあって、
応募してみようということだったんです。
最優秀になるとは思わなかったけど(笑)。
それと案外、作るの好きなんですよ。

・料理はされるんですか?

料理はします。好きなものをつくる。

・毎日?

毎日じゃないけど休みの日はよくつくりますね。

・工夫した点はありますか?

工夫したのはこれですね(ハンバーグ)。
何回もつくつたのですが、ハンバーグへ、
最初レンコンをいくらか小っちゃく切っていれようかなと
思ってやったんですけど、あんまりうまくいかなくて。
じゃあ擦ってみようとひき肉と混ぜてしたんです、
それとこれレンコンかなと分かるように、
レンコンを薄く切って上に置いたんですよ。
それとあとは、今回ショウガをちょっと入れたら味が変わったんで、
面白いなと思って、コンクールの時は入れてなかったんですけど、
ショウガを入れると香りがいいですね。
ひじきは身体にいいかなと思って、入れてみました。

・何段階も(工夫して)?

そう。今回はしてないですけど、普通にレンコンを擦った中へ
ちょっと大きく切ったものを入れれば食感も違うんです。

・結構歯ごたえありますもんね。

口に食感が残るからレンコンぽい方がよかったかなと思うけど、
今回は全部擦りましたけどね。やり方をかえて色々できると思いますよ。

・この完成までに何個ぐらい作りました?

急に出ることになりましたからね、
毎日これ(レンコンハンバーグ)でしたからね(笑)。
10回くらいかな(笑)。
だんだん進化して最後はこれになったんです。

・お弁当は同僚の方に食べてもらったりしました?

はい。入賞して、食べたいということで部署のみんなに持ってきました。

・みんな美味しいって言われたんじゃないですか?

珍しいって、レンコンのハンバーグは。
優勝したからそう思うんでしょう(笑)。

・こちらには入られてからは、ずっとお弁当ですか?

いや、これをつくってから、つくる前後。
ここ最近ですね。この弁当がきっかけですね。
なんかやったら面白かったみたいな。

・習慣づいちゃったような?

そう。案外ひとつの食材で色々できるじゃないですか、昔はね、
カレーライスしかできなかった。カレーライスも得意なんですけど。

・それなのにいきなりうまくできる?

仕事がらかな、JAは青空市とかやっているじゃないですか。
そういうところに買いに行くと地元食材ばかりですよ、
面白いのは「何々をつくろう」と思って行くんじゃなくて、
買い物に行ってこれとこれとこれ買って何しようかなと。
みんな逆だと思うんだけど、そういうほうが面白いですよ。

・それ以来じゃあお弁当は毎朝つくられている?

そうですね。前の日に遅くまで飲んじゃうとつらい、(笑)
起きるのギリギリでしょ。それ以外は。

・お弁当をつくって来ない日は外へ食べに?

いや。パンを妻が焼いたりするので好きになったかな。
まわりの仲間からは仕事がら米でしょうと言われますが、
キムラヤのパンが好きなんですよ。

・お腹すかないですか?

たくさん食べます。4個くらい食べてしまう(笑)。

・また新しい地産地消弁当をつくられる予定は?

弁当も頑張りますかね。生姜の酢漬けなんか。身体によくて、美味しい。

・じゃあ弁当に限らず地元食材で料理をつくっていきたいという?

そうですね。美味しい料理を作って一杯飲むのが最高でしょうね。

★山部慎一さんのまいべん 作り方

【レンコンもちもちハンバーグ弁当】
□ レンコンハンバーグ
<材料>レンコン(連島産)…60g、牛肉ミンチ(岡山県産)…15g、ひじき(笠岡諸島産)…少々、豆腐…少々、片栗粉…少々、コンソメ…少々、塩…少々、たれ(しょうゆ・みりん・砂糖)…少々、しょうが(福田・連島産)…少々
<作り方>レンコンをすって牛肉ミンチ、ひじき、豆腐を混ぜ合わせる。コリコリ感をつけるため、少し大きく切ったレンコンをこの中に入れてもよい。形を整えてレンコンの薄切りをハンバーグの上にのせ、弱火で焼く。焼き上がったらたれをかけて仕上げる。
□ アスパラ卵巻き
<材料>アスパラガス(矢掛産)…1本、卵(矢掛産)…1個、砂糖…少々、しょうゆ…少々
<作り方>アスパラガスを茹でて、卵焼き器で卵を焼きながらアスパラガスを巻く。
□ ゴボウサラダ
<材料>ゴボウ(連島産)…10g、ニンジン(笠岡産)…10g、ジャガイモ(矢掛産)…20g、マヨネーズ…少々
<作り方>ゴボウ、ニンジン、ジャガイモは小さく角切りにして茹でる。冷ましてマヨネーズであえる。
□ 付け合わせ
イチゴ(矢掛産)…2粒程度

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