温泉

料理

女将業のはじまりは"幼なじみ婚"

 肌に良いとされる湯原の温泉水を配合した化粧品が好評な湯の蔵つるや。館内は柔らかな灯りに包まれ、モダンな雰囲気を醸している。
 そこへさらに彩りを添えるのが、華道家・黒田幸陽氏により生けられた花々で、それは若女将・早苗さんの誇りでもある。
 この町で生まれ育った早苗さんは、小学校からの同級生だったご主人と結婚、看護師の職を辞して若女将となった。現在は三人の子を育てながら、女将・礼子さんとの二枚看板で奮闘中。


DATA
湯の蔵つるや
岡山県真庭市湯原温泉144
TEL.0867-62-2016
一泊/12,000円〜
(お一人様、二食付き)
日帰り入浴/大人1,000円、子ども500円(15:00〜21:00)
※貸し切りは13:00〜21:00、1回(45分間)3,000円 
泉質/低張性アルカリ高温泉
http://www.yunokura.co.jp/

外観





  湯の蔵つるや 若女将 小河原早苗 さん

・女将さんになられたきっかけは、ご主人様とのご結婚ですか。

そうですね。結婚ですね。

・結婚して何年くらいになりますか。

結婚して15年です。

・ご主人様との出会いを教えてください。

同級生です。

・同級生ですか!

幼なじみです。小学校から一緒です。

・幼なじみですか。何だか小説みたいですね。

そんないいもんじゃないですけどね(笑)。うふふふ(笑)。
そんなロマンチックなもんじゃないですね(笑)。

・小学校の時からずっと知っていて、小学校くらいから「結婚しようね」なんて言ってたんですか。

いえいえいえ(笑)、全然。まさかこの人と、みたいな(笑)。

・そうなんですか(笑)。

そうなんです(笑)。むこうもまさかコイツと、でしょう。きっと(笑)。

・素敵ですね、何か。

うーん、どうでしょう(笑)

・何か納得いかれてないような(笑)。

そんなことないですよ、ただ早くに結婚しましたからね(笑)。

・それは職業柄、早く結婚して女将さんになってくれ、みたいな。

いえ全然、私も女将になるぞっていう風に嫁に来たわけじゃなくて(笑)。

・何か別の職業をしようみたいな、結婚はされても別なところで働こうと?

そうですね。女将さんもまだ若かったし、すぐ女将業をするという感覚もなかったので、
いずれは旅館も手伝わないといけないかなぁというくらいの感覚で来ちゃったので。
たぶんそう悩まなく来ちゃったから、結構周りからは「よく来たね」って(笑)。

・そうなんですか(笑)。

そう言われちゃうんですけどね(笑)。 あんまり考えずに、この人と結婚したいと思って。

・まず人だったわけですね、職業というか。

そうですね。今だったらしないかもしれないですね。とか言って(爆笑)。

・ダメですよ。そんなこと言っちゃあ(笑)。やっぱり大変ですか。

大変ですよ。でも楽しいですけどね(笑)。

・じゃあ女将さんという職業というか、お家がそういう旅館業じゃなかったらどんな職業をやってみたかったですか。

一応、看護師資格持っているんですよ。看護師をやっていたかなぁ、やっぱり。

・そういう学校に行かれていたわけですよね。

そうですね。

・夢だったわけですか。

そうでした、夢は叶って、働くのは働いたので(笑)。

・ちょっと働いたんですね。

働いたんですよ(笑)。そこからは結婚しちゃったんですけど。
もし今結婚していなかったら、看護師を続けていたかもしれません。

・じゃあ、看護師にならず女将さんの道に進んで、一番嬉しかったことは。

旅館をしていて? そうですね。一番嬉しかったことは、やっぱり出会いがあるからいいですよね。
地元の方にしてもお客様にしても色んな出会いがあるじゃないですか、 旅館業をしていたら。

・普通に働いていたら出会えない人と出会えると。

ええ。そうです。先輩が多いですし、旅館の女将さんも。

・女将さんが。

女将会も先輩がほとんどです。

・若いですもんね。

それで勉強になるからいいなと思いますね。 新しい発見というか。刺激を受けます。

・女将さん同士は仲が良いんですか。

湯原温泉の女将で、ハンドベルをしているんですよ。

・ハンドベル?

ハンドベルチームがあるんですよ(笑)。ハンドベルチームといったらいいのか、
ハンドベルをね、女将さん同士で、湯原温泉にある6軒で。17軒宿があるんですけど、
その中の6軒でハンドベルを演奏しているんですよ。
「湯快感 花やしき」さんと、「油屋」さんと、「八景」さんと「ゆばらリゾート」さんと「たねや」さんとうちの6軒で ハンドベルをしています。

・年齢層は?

年齢層は20代から50代まで。

・20代の方もまだいらっしゃるんですね。

はい。

・若いんですね。

皆さん若返ったねって言われるんですけど(笑)。

・ちょうどそういう世代交代の時なんですかね。

そうですね。娘だったり若嫁だったりっていう感じですね。

・この6名で公演とかもやったりします?

目標は月に1回地元でコンサートしたい、 ちょっと夏は忙しくて、8月はできなかったんですが。
イベントでクリスマスとか、バレンタインとかに、
湯原温泉で「キャンドルファンタジー」というのをしているんですけど、
キャンドルファンタジーの時に合わせて、ハンドベルのコンサートをしたりしています。


・お客さんは喜びそうですね。

そうですね。温泉ミュージアムというところがあるんですけど、
そこで旅館が落ち着いた21時から30分位演奏します。

・いいですね、夜にそういうのあると。

そうですね。次はクリスマスですね。

・それは宿泊客の方だったら見られるんですか。

もちろん誰でも見られます。

・無料で?

もちろん、もちろん(笑)。お金なんてとんでもない(笑)。 レパートリーが20曲位あるんです。
最初は2曲しかなかったんだけど(笑)。

・ハンドベルって難しそうですよね。

3年目なんですよ、始めて。月に2回くらい集まって練習して、 だからどんどん仲良くなってね、
岡山駅で物産展をした時もこの前、7月にしましたね。

・そうだったんですね。

はい。岡山駅の目の前で。

・それは皆さん和服で?

その時は浴衣でしました。

・いいですね。結構人が集まったでしょうね。

そうですね。やっぱり音が出るから、ただのチラシ配りよりかは音で寄って来て、
人を寄せて「湯原温泉です」というアピールができるから。

・お揃いの浴衣だったんですか。

その時は「はんざき祭り」っていうお祭りが湯原温泉の中であるんですけど、
そのお祭りの浴衣なんで、お揃いの浴衣でしたね。

・こちらのお宿の一番の自慢は?

温泉はもちろんかけ流しなので、お客様が入ったらツルツルになるって言ってくださるので、
まず温泉、湯原温泉全体ですけど。 温泉と、気取らないおもてなしですかね。
あんまり高級旅館といった宿でもないですし、どちらかというと アットホームというか、
何かのんびりくつろいでいただく方が、 気を張らなくてもよくて、
気軽に来て、また来たいなっという方がいいですね。

・お客様は常連の方も結構多いですか。

多いですね。私が嫁に来る前から来られている方もいらっしゃいますしね。

・女将さんの接客哲学のようなものがあれば教えてください。

哲学というと(笑)。

・何かこれは気をつけるようにしている、ということでも。

気をつけていることは、やっぱり笑顔と、つかず離れずの距離感ですね。

・距離感。難しいですよね。

難しいですね。すごい常連さんだからって馴れ馴れしくするのもダメですし、
何回も来ていただいているのに白々しいのもね(笑)。
あるでしょ、そういうちょうどいい距離感みたいなのが。

・そうですね、ちょうどいい距離感ってありますね。

模索しています(笑)。


・なかなか人によって違いますもんね、そういうのは。

でも母はそういうのが凄い上手なんですよ。 だから、それを見てハッと(笑)。

・そういうところを盗んで。

そうです。お手本があるのでいいですよ。

・いいですよね、近くにあって。

いいなって他からも言ってもらいます。「いいね、ママがいるから」って。
あと無理しないことですね。

・無理しない?

基本無理しない、と。

・無理すると分かりますよね、お客様に。

頑張りすぎないと(笑)。もっと頑張れって言われるんですけど(爆笑)。

・女将さんらしい特技はありますか。イメージですけどお琴やってたとか、
三味線とかお花とか。

お花はねぇ、ちょっと、今日も先生来られているから(ロビーの花を指差しながら)。

・ご自分で?

いえいえ。先生が来て生けてくださっているんです。

・先生が?

そうなんです。うちはお花も旅館の売りなんで。 生け花の個展を開くくらいの先生なんですよ。

・素敵ですよね。その先生について習われているんですか。

そうですね、ちょこっと習ってますけど。でも、まだまだですね(笑)。

・普通の特技とか趣味とかは。

特技といわれると何か難しいな(笑)。

・特技じゃなくても、趣味でも。

趣味ねぇ…私ずっと子育てしているので、趣味らしい趣味ってないんですけど、
たまーにゴルフ行ったりはするんですけど。 でも全然下手だから特技にもならないしなぁ(笑)。

・お客様と行かれたり?

いえ、だいたい家族やスタッフですね。


・ゴルフ場は近いですか。

そうですね。湯原にもあるし、 勝山にも、真庭とか、北房とか近辺に結構あるんですよ。

・あんまりお休みもないと思うんですけど。

買い物はあまりしなくなったしなぁ。

・息抜きするといったらゴルフとか?

ゴルフとかマッサージとか(笑)。

・マッサージ?(笑)

あははは(笑)。

・この中(湯原温泉)で?

それもあるし、旅行とか出かけた時に(笑)。

・ここから出るとしたら、やはり米子市内ですか。

そうですね。 あと息抜きするとしたら、皆でお酒を飲むことかな(笑)。

・皆で? お店で? ご自宅で?

家飲みもしますし(笑)。

・それはハンドベルの皆さんと?

それは年に何回か打上げ的な感じで。例えば大阪でもハンドベルしたことあって、
大阪に続けて2年行って、大阪の駅でして、その後、施設とかでして。

・施設?

グループホームとか。 呼ばれてというと大げさなんですけど。押しかけて。
その時は一泊なんで 大阪で一泊したら、その日は(笑)。

・すごい羽が伸ばせそうですね(笑)。

そうなんです(笑)。 楽しかったです(笑)。なかなか都会には出られないから。

・湯原温泉、この近辺でお気に入りの場所がありますか?

社の千年杉。あそこはいいですよ。 こんな(両手を広げて)大きい太い幹の杉があるんですけど。

・この近くですか。

そうですね。ちょっと山の中に入って行くんですけどね。

・パワースポットみたいな。

そんな感じ。神社の境内があって、その横にバァーって太い杉の幹があって。

・いいですね。

あれは見る価値があるし、行くと パワーもらったっていう気持ちになりますよ、絶対。

・そうなんですね。結構行かれますか?

子どもの友だちがすぐ近くに住んでいるので(笑)。 迎えに行ったらついでに行こうって(笑)。
子ども中心の日常なんで(笑)。

・子どもさんはいまお幾つですか?

中学生が2人と5歳と3人います。

・じゃあいまは、旅館業と子育てでお忙しいですね。

ええ。母がいるので、その分は分担できて助かっています。 お互いにいいかなと。
女将も出かける時は私に任せられるし、 自分も出る時は母に言えるし、二枚看板でいいです(笑)。

・女将さんはお幾つですか?

62歳ですけど、全然そういう風に見えません、若いです。

・それはやはり温泉効果ですかね?

温泉効果だと思いますね。

・当然毎日入られますもんね。

肌もほんとに綺麗ですよ。

・いいなぁ。こちらで化粧品も出されている?

化粧品も作った理由は、旅館が火事になったことがあるんですけど、
その時に母が火傷したんですよ、顔に。
で、もう皮膚科の先生も痕が残るって言われたんですけど、 温泉を冷やしてそれをつけて、
毎日洗っていたら綺麗に治ったんですよ。

・それすごいな。

それで嘘みたいに治ったから、やっぱり湯原の温泉は肌にいいんだって。
石鹸いらずということで、角質を落としてくれるんです。 だから火傷もよかったんだと思います。
沈着していたのが綺麗に取れて、 そこからこういうのを肌に活かせたら、
というので化粧水をまず作って、それから現在のものへリニューアルしました。

・湯原温泉で作っているわけでなくて、こちらの旅館で独自に作っている?

そうです。うちが独自にね。

・ちなみにこちらの値段は?

つるつる化粧液が3,675円で、ジェルが4,620円です。セットで5,250円です。

・えぇー、セットだとだいぶお買い得ですね。

そうなんです。うちの売店での限定、お越しいただいた方へ、 お得にしましょうということで。

・通販もありますか。

通販もしてますが、これ(セット割引)はやっていないですね。
でも、こちらを見ていただいた方へはいたしましょうか。

これからも、出会いを大切に、楽しみながら仕事したいと思います。 ありがとうございました。

 

-----

Copyright © 2011 Sanyo Shinbun Jigyosha All rights reserved
かばしまクリニック おかやま住宅工房