温泉

料理

友だち以上、"もはや家族"な女将

 谷川を隔てた山肌に面するという絶好のロケーションで、これからの季節、露天風呂からは紅葉が楽しめる花やしき。こちらを切り盛りするのは、女将の理愛(りえ)さんだ。家業の旅館に飛び込んで以来、12年になる。
 飾らない人柄で、常連客の多くとまるで家族か親戚のような関係を築いている。その理愛さんが絶大な信頼を寄せるのは、料理長が丹精を込める会席。醤油ひとつをとっても炊き直してあるという、繊細な料理だ。
 


DATA
湯快感 花やしき
岡山県真庭市湯原温泉21
TEL.0867-62-3341
一泊/10,500円〜
(お一人様、二食付き)
日帰り入浴/大人1,000円、子ども500円(15:00〜21:00)※貸し切りは1回45分間
 
泉質/低張性アルカリ高温泉
http://www.www.y-hanayashiki.co.jp

外観





  湯快館 花やしき 女将 池田 理愛 さん

・女将さんになられたきっかけは、ご主人様とのご結婚ですか。

いいえ。未婚です(笑)。

・じゃあ実家で。

実家で父親が広げた事業ですよね。
たまたまここの前のお宿の方が辞められたのがきっかけで、 うちは別に宿を持ってたんですけど、
2軒目の姉妹店としてオープンしたのがきっかけです。

・何年ぐらいになりますか。

12年。平成11年7月8日のオープンなんで、12年とちょっとかな。

・じゃあ女将さんになってなかったら、どういったことをしかったですか。
 この道に進みたかったとか、やりたかった職業とか。

ツアコンの話もあったりしたんですよ。ツアーコンダクターね。
あんまりよそを知らなかったので、色んなところに行けるお仕事もいいなと思ってたし、
基本湯原を出て行くつもりだったので(笑)。あははは(笑)。よそに出て色々経験してね。

・でも湯原の中にいてお客様を迎え入れる立場になってしまったと(笑)。

なってしまった(笑)。大逆転みたいな(笑)。 あはははは(笑)。180度転換させられました。

・後悔とかないですか。楽しいですか。

嫌なことがあればね、やっぱり後悔の念も、
もうちょっとちゃんと考えておけばよかったかなとか思いますけど(笑)。
その時はともかく家族が頑張る時でもあったので、自分だけ放って出ていくのはできなかったので、 自分が役に立つならというところから、できるならやってみようかなと。
ずっと続けるとかそういうことは全く、学生上がりだったので、 そんなことは考える余裕もなく、
別にどうなるとか考えることなく 今の現時点を頑張らなきゃという思いで飛び込んだので、
そうすると日々お客様が来られますよね。
そうなると責任もありますし、スタッフの手前もありますし。

・徐々に徐々に自覚が。

もうどっぷりハマっていった(爆笑)。

・どっぷりですか(笑)。

どっぷりハマってます(笑)。で、女将さんという名のもとに、 その重要さとか名前の価値とか、
こう、何だろうな、その重みというか、 分からずに入ったから入れた。
だけど入ればそういうものが出てくるとなれば、
このまま自分がやっていかなきゃな、というところです。

・自覚が。

自覚症状が出てきました(笑)。

・自覚症状(笑)。

あははは(笑)。ええ。また来るよと、 自分の顔が前に出てくるとなるとね、今更ね。

・後には引けない、みたいなところも。

(うんうんと頷く)

・やっぱりまた来るよ、と言われることが一番嬉しいですか。

そりゃそうですよね。お客様とお友達になってますからね(笑)。

・お友達?

あははは(笑)。たいがい私はそのパターンですから。
家族とか親戚が増えているつもりでやっていますから(笑)。

・じゃあ常連さんも多いですね。

多いですね。だいたいリピーターさんが多いですよ。

・やっぱりそれが女将さんになって一番嬉しかったことですね。

それはもう一番ですね。宝ですよね。
それがなければとっくの間に出て行ってます(笑)。違うか。あはははは(爆笑)。
やっぱりやっている以上は一生懸命やりたいというのがあるので、
ちゃんとお金をいただいているわけだし、そういったところでちゃんとしたものは返さないと、
ってやってますけど、やっている以上は楽しくはやりたいなと思うので。
じゃあ楽しくやるにはどうしたらいいんだろうって、
じゃあお客様に満足してもらえることが楽しみですよねって、
じゃあ満足してくれるにはどうしたらいいんだろうっていったら、やっぱりこう自然な、ねぇ。

・自然な接客。

私作った笑顔とかああいうのは苦手だし、したくないし自分がされて嬉しくないし、
泊りに行った時とかにね。取って付けたような、とか分かるじゃないですか。
だいたいこの人あまりしたくないんだろうな、とか。
そういうのではなくて、自然とお迎えできるようにしたいなと思って。

・それはじゃあ、女将さんの接客哲学みたいなものですか。

ええ。

・それで喜んでもらうのが一番と。

そうそう。

・お客さんに対して必ずこれはするようにしている、などしていることはありますか。例えばこれだけは声をかけるようにしている、とか。

目で見て感じること。言われる前に気づこうねと。
今、お客様が例えばご飯を食べている時とか、
食後におじいちゃんおばあちゃんがお薬飲みますよね、ひとつ例を取るとね。
小さい袋を持っています。こんなポーチとか持って、その中に手を突っ込んだって、
食事が終わった後に、あっお薬だなと、じゃあ言われる前にお水を持って行きましょうとか。

・なるほど。

じゃあそこでロビーでうろうろされている、小銭でも持っている、
あぁ販売機を探しているのかなとか、お手洗いかなとか、こちらですよと。
食事処から出て来られてキョロキョロしていると、トイレ探されているのだなと、
言われる前にあちらですよと言う、一歩先を読むようなおもてなしはスタッフにも言うけど、
自分でも心がけていますよね。

・すごく観察していないと、お客さんのことが分からないですよね。

目と耳と鼻と。

・鼻も?

鼻も(笑)。匂い。

・嗅覚も大切。

大切ですよ(笑)。あっ焦げてるとか(笑)。煮詰まっているとか(笑)。音とかも。
ステーキ焼いている時とかも、火が足りなくなってくると力が弱い音になってくるので
燃料追加してあげなきゃねとか。

・もうフル稼働ですね。

ビンビンですね。特に私は夜の食事の時をメインにもっていっているので、
だいたいうちのメインは夕食なんで、そこになるとさらに集中しますよね。
食事はもちろん全部手作りなんで。醤油まで。一升瓶をそのまま使うというのではなくて
料理長が絶対炊きなおすというね。目で見て楽しむということもね。
何気に色彩感覚が優れているので、うちの料理長は。

・何気に(笑)。

顔見たいってお客さんに言われるけど、見ない方がいいって(笑)。
料理と顔、合わないと思いますよって(笑)、面白く言ってますけどね(笑)。

・じゃあこちらの自慢となったら、料理ですね。

料理です。安心して仕事ができます、私も。 見ていなくても絶対大丈夫、というのがあるので。

・それは嬉しいことですね。

それはほんと、それがあるのとないのとでは大きな違いですよね。

・気になって仕方ないと困りますもんね。

仕事がスムーズに進まないし、お客様に顔が合わせられなくなります(笑)。
気持ちよく会えるのはそういうところをちゃんと、やってくれているという安心感で、
自信を持ってお客様の前に出られるというのはありますよね。

・女将さんらしい特技はありますか。女将さんらしくなくてもいいですけど特技がありますか。お花とか。そういうイメージなんですけど、そういうことをやっているとか。

それを言われると一番困るんですけど、
私は「女将さんらしくない女将だね」ってよく言われているので(笑)。

・変った趣味とかでもあれば教えてください。カラオケとかでもいいですよ。

カラオケ(笑)。

・カラオケ好き(笑)。

カラオケ大好きですね(笑)。

・お休みはなかなかないと思うのですが、プライベートで遊びに行くのはどんなところに行きますか。行く暇もないですかね。

あんまり私は本当に休みがない人なんですけど、休まないというか何というか出るとしたら、
この春と秋はゴルフに、たまーに。お客様に誘われて初めたんですけど。
お客様と今度コンペがあるんですけど、うちのお店のコンペがあるから、母親のね。
それには必ず行くので、その前後にはゴルフに行くように心がけているのと。
えーと、あとショッピングは私のストレス発散法です。

・ショッピング。

めったに出られないからため買いするんですよ。ババババって。
それを家に帰ってお披露目会をするのが好きなんですけど(笑)。

・ショッピンはどの辺に行かれます?

倉敷にまで下ったりとか、この辺だと米子の方だったりとか、目的によってですね。
あとご飯食べに行ったりとか。美味しいもの食べに行こうツアーで、この辺に行ったりとか。

・従業員の方とかと。

そうそう。

・湯原でお気に入りのスポットはありますか。

友だちが来たら必ず行く足湯があるんですけど、すぐそこの河川のところにある。
この道路沿いにある手と足を浸けられるところではなく、ひとつ下がったところに、
岩でできている足湯が2カ所、河川にあるんですよ。
そのうちの1か所をいつも友だちと行くんですけど。

・そのうちの1か所。

はい。手前の所が私、好きなんで。

・何か違うんですかね。

湯温が自分に一番適温なのと、結構景色が広く見えるので。
上は結構目に付きやすいから、あそこだと道路沿いなので
下の方が自然に囲まれたような感じなので。すぐそばに駐車場はあるんですけど、
ちょっと違う感覚でのんびりできますね。

・いいなぁ。秋はまた綺麗でしょうね。

ええ、紅葉しますからね。 でも雪景色が綺麗ですよ、ここは。

・冬は結構雪が降りますか。

降ります。2月は特に多くて、よく積もって60㎝くらい。
この冬はそれ以上いきましたよ。ドカ雪でしたからね。腰までいきました。
クリスマスとバレンタインはキャンドルイベントもありますしね、また綺麗ですね。

 

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